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2025-05-24

【アート】エドヴァルド・ムンクの"眼"


ブログ開設後しばらくの間は,自己紹介も兼ねて自分の嗜好について紹介します. 
今回はお気に入りの画について.
 
エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)は19世紀から20世紀にかけて活躍したノルウェーの画家ですが,代表作はなんといっても『叫び』でしょう.
 
The Scream, 1893

 
絵画を理解する審美眼はあるか,と問われたら自信をもって「無い!」と答えますが,この画を小学生の頃に初めて観たときには,
「こりゃたまらん!」

と感じたのを覚えています.

日本人に『叫び』のポーズを取ってもらうと,大多数の方が頬に手を当てて自分が叫んでいるかのようなポーズをとるそうですが,ノルウェーの方に同じポーズを取ってもらうとさすが本国人,ほぼ間違いなく正しいポーズとなるのだとか(NHK「日曜美術館」調べ).

正解は,耳に手を当てる,
はい,叫んでいるのは自分ではなく大いなる自然.
大自然の絶叫に恐れおののきながら,耳をふさいでいる光景なんですね.

画面奥の二人の人物から,あたかも
凶器のような禍々しいものが一直線に発せられ,自分はそれから逃れるすべがない.
その恐れ,おののき,不安が
血のように揺らめく背景で表現されているように感じました.

まさに小学生のころ,

「ヒトは死んだらどうなるのだろう」
と不安でたまらなかったことに通じるものがあったのかもしれません.

半世紀経った今でもその感覚に変わりはありませんが,さらに加わったキーワードは
「マジックアワー」
昼と夜が交じり合い魔界への入り口が開くといわれる時間帯,まさに逢魔が刻が,単なる茜色ではなく様々な色を織り交ぜて背景に表現されていて,気が付けば魔物が心に忍び込んでいるかのようです.

還暦過ぎのおっさんでも,

「おお怖わ!」って思ってしまいます.

このように人の不安を掻き立てるのが得意なムンクですが,次のような作品でもよくよく観ると心の底からぞっとさせられます.

The Voice, 1893

Madonna, 1895

ムンクはこれらの作品のモデルさんに心惹かれていたそうですが,真剣に想っていたいたのはムンクだけで,いずれのお相手も遊び半分で,結局は棄てられてしまった哀しい結末だったようです.
ムンク,相手を思いながらもそんな予感があったのでしょうか,これらの画からは女性に対する恐れ,不安しか感じられません.

 
ムンクのこれらの作品,その恐怖感はどこから来るのか,それは「眼」にあるのかもしれません.
カッと見開いた眼,暗黒の奥底まで落ち窪んだ眼,閉じられた眼,眼がすべてを物語っているようです.

眼の表現で観るものにそこまでの感情を抱かせる,やはり偉大なる画家なんでしょうね.

 
あ,そうそう,眼の表現といえば現代の日本にも偉大な作品がありました.
 
「東天紅」に電話して「紅天女」と言い違えるなんて,
恐ろしい子!
画像出典:白泉社

 

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