2025-11-24

【カメラ】Viva, PENTAX!

 
今年は,我がPENTAXのKマウント生誕五十周年だそうです.
カメラに興味が無い方には,「マウントとは何ぞや?」という話ですが,ザクっと言うとこれは,カメラのボディにレンズを装着するための規格のことで,物理的に接続するための形状や,電気的なやり取りのための決まり事といえば間違いないでしょう.
で,大抵の場合,マウント規格はメーカごとにバラバラで,ボディとレンズは同一メーカであることが原則とされています.

えっ,PENTAXのボディにRICOHのレンズが?!



自分がカメラを始めたころ,PENTAXはM42マウントと呼ばれる規格を採用していました.これは簡単に言えば,レンズ側に雄ネジ,ボディ側に雌ネジが切ってあって,レンズをクルクル回しながらボディにねじ込んでゆくというものです.
この方式だとネジの形状(直径,ピッチ)さえ合致すれば,メーカーを選ばずボディとレンズを組み合わせることができる優れものでした.

M42マウント
ボディへの装着はネジ込み

昔はボディとレンズの間での電気的な信号のやり取りなどは無く,この方式で問題無かった(物理的に固定できればOK)のですが,技術が進歩し,オートフォーカスなどの各種の自動化が進むとボディとレンズとの間で電気信号をやり取りする必要が生じました.そのためには双方の接点の位置決めを厳密に規定する必要が生じ,ねじ込み式では対応できなくなったのです.ねじ込む力の大小で,レンズの固定位置が微妙にズレますからね.

そんな中でPENTAXが開発した規格がKマウント,今から50年前のことでした.

Viva! その一

マウント形状が変わるということは,新しいカメラを買っても昔のレンズが使えない,つまり,システム一式を一新する必要があるということです.
新規のユーザは問題ありませんが,昔からのユーザからは当然のようにクレームの嵐!

これに対してほとんどのメーカは,便利になるのだから我慢してくれ,の一手でしたが,PENTAXはM42マウントからKマウントに変換するための純正マウントアダプタを公式に発表したのです.

M42→Kマウントアダプタ
定価1,000円という手頃な価格でご提供!

ミラーレスカメラが普及した今でこそ,マウントアダプタは広く普及し,昔のレンズを手軽に楽しめるようになりましたが,新しいカメラでも昔のレンズを使えると50年前に正式にアナウンスしたPENTAXの度胸と言ったら!

半世紀前のレンズが最新のカメラで使える贅沢


これこそ顧客第一主義の鏡と思ったものでした.

Viva! その二
PENTAXは新しいマウントの提供に当たり,その規格内容を公開しました.
つまりこの規格を順守すれば,異なるメーカ間であってもレンズ,ボディが共用できるのです.

Kマウント
種々の電子接点

メーカ間の互換性が無いことが,ユーザの拡大を妨げる要因の一つであることは間違いありません.自社ユーザの囲い込みばかり考えるカメラ業界の現状を考えると,なんと画期的な提案だったと思いますね.

Kマウントに賛同したRICOHが
今,その傘下にPENTAXを収めることになるとは,
感慨深いものがあります.


せっかくの斬新的な提案も,ほとんどのメーカの賛同は得られず,夢のような世界は実現しませんでした.
レンズもさることながら,最近のデジカメで問題となりつつあるのが,過去のバッテリが販売されなくなって,結果的にデジカメそのものが使えなくなることだそうです.これも各社が協力してバッテリの規格を統一すれば,まだまだ使えるカメラを大切に使い続けられると思うのですけどね.

こんなところにも,PENTAXのユーザを大切にする姿勢が見られたのでした.

五十周年,おめでとう!

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